なにしろ家族はいないし、本人は目を覚ましそうにない。
しかも、Aさんはまだ急性期ではないか。
「でも、せっかく来たんですから」と、保健婦さん。
確かに、また私が訪問できるのは1か月後になってしまう。
さて、どうしたものか。
私はある人が全国各地で"寝たきり老人の95%は座れます。まず座ってもらいましょう"と訴え続けているのに感銘を受けた。
日ごろ、自分の言ってるとおりにしなけりゃいけないだろうな、と思って、「起こしてみましょうか?」と言ってみる。
2人とも「でも......」なんて言わないので、しかたがない、少し恐いが起こしてみよう。
本人は寝たままだから、起きあがりのパターンも何もない。
真後ろから背中と首を起こしてみる。
急性期だけあって、関節は固まっておらず、体はスムーズに座位になる。
しかも、倒れそうにはない。
自分で座っているではないか。